外貨積立はおすすめではない!?仕組みやメリット・デメリットをFPが解説

「日本円の定期預金以外で何かよい運用手段ってないの?」

元FPという経歴のためか、この3ヶ月で8回程こんな質問をされたヒロです。

たしかに、バブル景気の頃の日本では定期預金の金利が6%。

ところが最近は、日銀のマイナス金利政策の影響もあり、比較的金利の高いネット銀行でも円の1年定期預金の金利が0.2%と非常に低い水準です。

「老後のためにお金を貯めておきたい」「ATMでお金を引き出すたびに利用料が高くてゲンナリする・・・」など理由は様々ですが、円定期預金より良い運用手段を知りたくなる気持ちはもっともだと思います。

そして、上の質問とあわせてよく聞かれるのが「外貨積立っておすすめなの?」ということ。

確かに外貨預金は金利が高いというメリットがありますから、気になりますよね。

そこで今回は、米ドルなどの金利の高い外貨預金を活用した『外貨積立』という運用方法についてご紹介します。

ただし結論としては、4つのメリットに対して3つの残念なデメリットがあるため、元FP的には「外貨積立はあまりおススメではない」です。

本記事では、

・外貨積立の仕組み

・外貨積立のメリット・デメリット

・外貨積立以外でおススメの運用手段

について具体的にお伝えします。

外貨積立とは?その仕組みについて

外貨積立は、あらかじめ指定した日に、日本円の預金口座から自動的に外貨預金口座に振り替えるサービスです。

例えば、住信SBIネット銀行の外貨積立では、最低500円から積立でき、毎日、毎週、毎月など、自分のペースに合わせて積立てることもできます。

一定のペースで一定の金額の外貨を購入していくため、長期的に見て外貨の購入レートを平準化することができ、一回でまとめて外貨を購入するよりもリスクを抑えて運用できます。

それでは、外貨積立にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

外貨積立の4つのメリット

金利が高い

1つ目のメリットは、金利が高いことです。

例えば、住信SBIネット銀行の外貨積立の場合、米ドルだと1年で0.7%の金利がつきます。

住信SBIネット銀行の円定期預金の金利は1年で0.02%なので、単純計算で外貨積立の方が1年で35倍もの金利がつくことになります。

為替差益

2つ目のメリットは、為替差益を狙えることです。

米ドルを例にとると、2019年4月現在、1ドル111円~112円で推移していますが、これが1ドル121~122円まで円安が進むと、外貨預金の金利とは別に1ドルあたり10円くらい利益を得ることができます。

リスクヘッジ

3つ目のメリットは、リスクヘッジができることです。

日本で働いている前提で考えると、皆さんはお給料などの収入を円でもらっていますよね?

もし円しか資産を持っていない場合、どのようなリスクがあるでしょうか。

日本に住んでいる人にとって、真のリスクは円の価値が下がる(=円安になる)ことです。

なぜなら、例えば1ドルが110円から150円まで円安・ドル高になると、食品や衣服など、輸入品の価格が高くなり、これまで110円で買えた物が150円でしか買えなくなるからです。

このリスクをヘッジするためには、資産の一部をドルなどの外貨に換えておく必要があります。

また、国の信用という観点からも、外貨を持つことはリスクヘッジになります。

通貨の価値は、当然のことながら、その通貨を発行する国の信用に基づいています。

そこで、日本という国の収支状況について見てみたいと思います。

日本の国の借金の残高は、なんと約883兆円。

しかも、2019年度の政府予算では、収入(歳入)は62兆円しかないのに、支出(歳出)は101兆円。

毎年赤字で、国の借金は増え続けています。

このように借金を増やし続けている日本という国は、今後もずっと信用してもらえるでしょうか?

もし信用してもらえなくなってしまった場合、円を持ちたいと思う人は少なくなるので、

円の価値は下がって(=円安になって)しまいます。

そうなったとき、円で収入をもらっていて、円が資産の大半を占めている人は大変です。

そこで、ドルなどの外貨を持っていれば、リスクヘッジになるというわけです。

外貨利用

4つ目のメリットは、海外旅行をした際に外貨預金をおトクに利用できることです。

銀行によっては、外貨預金で貯めた外貨を、海外でそのまま使うことができます。

例えば、ソニー銀行ではSony Bank WALLETというVISAデビットカードがあり、このカードを使えば、両替所の高い為替手数料や海外ショッピング手数料をかけずにお買い物ができます。

海外旅行や海外出張の多い方は、わざわざ円から現地の通貨に両替する必要がなくなるので、便利ですね。

ここまで外貨積立のメリットについて見てきましたが、外貨積立には注意すべきデメリットもあります。

次に、デメリットについて見ていきましょう。

外貨積立の3つのデメリット

これから解説するデメリットも踏まえたうえで、外貨積立を行うべきかどうか、考えてみてください。

3つのデメリットをここでは取り上げてみます。

為替手数料

1つめのデメリットは、為替手数料がかかることです。

アメリカドルの預金をする場合は、円からアメリカドルを購入する必要があり、その際に為替手数料がかかります。

例えば、三菱UFJ銀行の「外貨つみたて」は、最大1ドル1円(!)の為替手数料がかかります。

ただし、ネット銀行の中には、外貨積立の為替手数料が2銭(1ドルあたり0.02円)という銀行もあり、外貨預金の為替手数料は、海外旅行などで外貨両替をするときの手数料(1ドル3円ほど)よりは安いことが多いようです。

為替リスク

2つめのデメリットは、為替リスクがあることです。

これは2つめのメリットの逆ですが、例えば1ドル80円まで円高が進んだ場合、円に換算して考えると損をしてしまいます。

なお、南アフリカのランドやトルコリラなど新興国通貨は金利が高く人気もありますが、2018年にトルコリラが28%の下落を記録したように為替の変動リスクも高いです。

大きく資産を減らさないという観点からは、外貨積立で運用する場合、米ドルなど先進国通貨を中心に運用するのがおススメです。

預金保険制度(ペイオフ)の対象外

3つめのデメリットは、ペイオフの対象に含まれないことです。

円預金の場合は、ペイオフという預金者を保護する制度があるため、銀行が破たんした場合、その銀行に預けている元本1,000万円とその利息については保護されます。

一方で、外貨預金は同じ「預金」であるにも関わらず、このペイオフの対象ではありません。

そのため、銀行が破たんしてしまうと、すべての払い戻しができないケースもあるため、1つの銀行に多額の外貨預金を預けることは避けた方が無難でしょう。

FPが断言!外貨積立はおススメできるのか?

ここまでは外貨積立のメリット・デメリットを見てきました。

ところで、皆さんは、将来のドル円の為替水準は円安・ドル高と円高・ドル安のどちらになると思いますか?

まぁ、100%予測できるなら既にスーパートレーダーになってますよね。

個人的には、将来の為替水準を予想できないのであれば、「資産の半分を外貨として持っておく」というのが合理的な選択なのではないかと考えています。

なぜなら、円安・ドル高になれば、米ドルの高金利で運用できてしかも為替差益を得ることができますし、もし円高・ドル安になって外貨預金で為替の含み損を抱えたとしても、半分の資産は円で持っていて、その円の価値が高くなるため、購買力は変わらないからです。

では、外貨積立はおススメできるかというと、あまりおススメできません。

その理由は、デメリットにも書いた通り、外貨積立は、為替リスクがあり、為替手数料がかかる割に、金利が米ドルで1%以下とそれほど高くないためです。

ただし、外貨積立は初心者でも取り組みやすいので、為替がどれだけ大きく変動したとしても、毎月淡々と同じ金額を外貨積立できるという強いメンタルをお持ちであれば、外貨積立は一考の価値があると言えるでしょう。

外貨積立以外の選択肢

「では、ヒロさんは何がおススメなの?」と思う方もいるかもしれませんので、先に答えを書いておくと、個人的には外貨積立よりも「外貨定期預金」をおススメしています。

その理由は、外貨定期預金の方が外貨積立よりも金利が高いためです。

外貨積立の1つめのメリットにおいて、住信SBIネット銀行の米ドルでの外貨積立は、1年の金利が0.7%とお伝えしましたが、同銀行の米ドルの外貨定期預金は1年の金利が2.3%と外貨積立の3倍以上になっています。

最低金額も10ドルから始められる点も、初心者にとっては嬉しいですね。

銀行に預けている日本円お金を外貨に換えておきたい方は「外貨定期預金」、金利はそれほど高くなくても外貨をコツコツ積み立てたい方は「外貨積立」という選び方をしてもよいかもしれません。

外貨積立も外貨定期預金も為替リスクなどのデメリットはありますが、日本円の銀行預金よりも金利の高い有力な資産運用先であることは間違いありませんので、本記事を参考に外貨運用を検討してみてはいかがでしょうか。